【Case #Log Why Gray?】
〜「眠たい映像」こそが、シネマへの招待状〜

Hair Crest Academy 講師の多城勇輝です。
前回の続きです。
FX3で撮った映像は、一見すると色が薄く、コントラストもない「眠たいグレー」です。
故障ではありません。これが、プロが追い求めた**「Log(ログ)」**という魔法の状態です。
なぜ、わざわざこんな「美味しくなさそうな色」で撮るのか?
美容師の皆さんに一番伝わる言葉で言うなら、こうです。Log撮影とは、映像における「ブリーチ」である。
The Logic|黒染め vs ブリーチ
スマホや普通のビデオカメラで撮る映像は、最初から綺麗ですよね?
あれは、カメラの中で勝手に「色付け(現像)」が終わっている状態です。
美容師で例えるなら、**「黒染め」**です。
楽ですが、後から「もっと明るくしたい」
「透明感を出したい」と思っても、
もう手遅れ。色は動きません。
対して、**Log(ログ)は
「ブリーチ(ベースメイク)」です。
そのままだと金髪(グレー)で、
完成形ではありません。
でも、色素(情報)が抜かれている分、
後から「どんな色(トナー)」**でも自由自在に入れることができます。
* フィルムのような質感にしたい?
* 雨の日の冷たいブルーを入れたい?
キャンバスが白紙だからこそ、
あなたの「作りたい世界観」を
100%定着させることができるのです。


The Secret|情報の「圧縮袋」
もう少しロジカルに説明します。
この「眠たいグレー」の中には、
実はとんでもない量の情報が隠されています。
* ハイライト(明部): 白飛びしそうな空の青さ
* シャドウ(暗部): 黒つぶれしそうな髪の毛のディテール
本来なら画面に収まりきらない
「光の幅(ダイナミックレンジ)」
を、ギュッと圧縮してグレーの中に
畳み込んでいるのです。
これを、編集ソフト
(DaVinci Resolveなど)で
**「展開(解凍)」**してあげる。
すると、スマホでは絶対に撮れない
「眩しいのに白飛びしていない」
「暗いのに黒つぶれしていない」
あのシネマティックな階調が蘇ります。

The Tool|LUT(ラット)という名のレシピ
「でも、そのグレーを元に戻すのが難しそう…」
大丈夫です。そこで使うのが
**「LUT(ラット)」**です。
これは、あらかじめプロが作った
**「カラーレシピ(プリセット)」**のこと。
グレーの映像に、お気に入りのLUTを
ポンと当てるだけで、
一瞬で映画の色になります。
* 撮影=最高の素材(Log)を集める
* 編集=レシピ(LUT)を選んで味付けする
このプロセスを手に入れた瞬間、
あなたは単なる「記録係」から、
世界観を作る「映像作家」へと進化します。
Next Step…
「グレーで撮って、色を入れる」
この概念が分かれば、
もう怖いものはありません。
次回は、その色を入れるための
**「編集ソフト」について。
なぜ僕が、Adobeではなく
DaVinci Resolve**を選ぶのか?
その理由をお話しします。
